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みなさん、こんにちは。
SMILEVISAです!
特定技能外国人を雇用した際に気を付けたいのが、賃金・給与に関することです。賃金・給与はトラブルが起こりやすく、気を付けたいポイントですよね。
特定技能外国人の給与の相場や注意点を知ることで、あらかじめトラブルを避けることができます。今回は、特定技能の賃金・給与の相場や、支払いの注意点を詳しく解説していきます。
特定技能の賃金・給与の相場はどのくらい?
まず、在留外国人全体の在留資格別の賃金相場をみていきましょう。厚生労働省発表による令和3年における外国人労働者の賃金相場は、下記の通りです。
在留資格 | 賃金 | 前年増減率(%) | 年齢(歳) | 勤続年数 |
外国人労働者 | 228,100 | 4.6 | 32.7 | 3.4 |
専門的・技術的分野 | 326,500 | 8.0 | 32.9 | 3.3 |
特定技能 | 194,900 | 11.6 | 28.0 | 2.0 |
身分に基づく在留資格 | 270,600 | 5.3 | 43.2 | 6.1 |
技能実習 | 164,100 | 1.5 | 26.9 | 2.0 |
その他 | 189,600 | -7.6 | 30.2 | 3.0 |
出典 令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
また、特定技能外国人のみの平均賃金については令和3年の分野別暫定値ですが、出入国在留管理庁のほうでこのようなデータが出ています。
出入国在留管理庁「技能実習制度及び特定技能制度の現状について」より引用
こちらを見ると、特定技能外国人の平均賃金は231,979円となっています。その他の在留資格の外国人に関しても、年々増加傾向にあることがわかります。
特定技能外国人の賃金については、特定技能の制度が始まって間もないこともあり、今後より多くの外国人が増えるにつれて増加していくことが考えられます。
また、在留資格の外国人に比べ、特定技能外国人の年齢平均は28歳と若く、勤続年数も平均が2年と短いのも特徴です。
特定技能外国人の給与はどうやって決める?
では、特定技能外国人の給与はどのように決定すれば良いのでしょうか。
まず前提として、労働基準法により「労働者の国籍を理由に、賃金や労働時間、労働条件について差別的な扱いをしてはならない」と定められています。また、入管法によって外国人労働者は、同程度の仕事内容に従事する日本人従業者と同等以上に設定することが定められています。
時々、「外国人労働者であれば日本人従業員よりも低賃金で雇用できるのでは?」とお考えの方もいらっしゃるのですが、特定技能に関しては必ず日本人従業員と同等程度が求められています。難しく考える必要はなく、日本人従業者と同じように扱えば問題ありません。
では、「日本人従業員と同等以上」とはどのように決定すればよいのかを次で解説します。
パターン①賃金規定がある場合
先ほども述べたように、特定技能外国人の給与は、経験年数や責任が同程度の日本人従業員と同等以上に設定する必要があります。
賃金規定がすでにあり、日本人従業員もその規定を元に給与が決定されている場合は、特定技能外国人も同様に賃金規定に沿った給与であれば問題はありません。
パターン②賃金規定や、比較対象の日本人がいない場合
賃金規定がない場合は、同程度の経験年数であり、同業務に従事する日本人従業者と比較対象とします。比較対象の日本人と、特定技能外国人が同等以上であれば問題はありません。
また、比較対象の日本人がいない場合は、近隣地域の同業他社に勤務し、同程度の経験や業務に従事する特定技能外国人労働者の給与と比較して同程度に決定します。
賃金規定や比較対象の日本人がいない場合のチェック項目は下記の通りです。
- 近隣地域の水準
- 学歴や職歴などの経歴
- 役職
- 責任の程度
これらのチェック項目を根拠とした資料を用いて、特定技能外国人に給与の考え方が合理的であることを説明することができればOKです。
特定技能外国人の給与支払いの注意点とは?
特定技能外国人と雇用側の間には、理解不足によるトラブルも発生しています。特に注意すべきなのは、以下の場合です。
①最低賃金法を下回っていないか
※最低賃金とは?※
まず「最低賃金」とは、最低賃金法に基づいた最低賃金制度により、雇用側が労働者に対して支払わなければならない賃金の制度のことです。この制度により、雇用側は労働者に対して最低賃金以上を支払う義務があります。最低賃金は特定技能外国人も対象となります。
最低賃金は以下の2種類に分かれています。
・都道府県別の「地域別最低賃金」
・産業別の「特定最低賃金」
特定技能外国人の給与を決定する際、「地域別最低賃金」と「特定最低賃金」を比較し、高い方の最低賃金以上の給与の支払いをする必要があります。
雇用側と労働者側の合意の上で取り決めた給与であっても、最低賃金を下回っていた場合は、法律上無効となります。
もし最低賃金以下で雇用した場合はどうなる?
最低賃金以下で雇用した場合、罰則があります。給与が最低賃金未満の支払いしかされなかった場合、最低賃金額との差額を支払う必要があります。また、地域別の最低賃金額以上の給与を支払わない場合は50万円以下、産業別の特定最低賃金額以上の給与を支払わない場合は30万円以下の罰金が労働基準法により定められています。
出典 最低賃金制度とは|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
さらに罰則だけではなく、特定技能外国人の受け入れ自体もできなくなる可能性があります。最低賃金は毎年10月前後に改定されているため、必ずチェックしましょう。
②割増賃金はきちんと支払われているか
通常、勤務時間外などで労働を行う場合は時間外手当が払われることになっています。その際は、日本人従業者と同様に「割増賃金」が適用されます。
「割増賃金」は勤務時間外労働のほかに、休日出勤の場合なども対象となります。勤務時間に関しては、特例もありますが、1日8時間、1週40時間が法定労働時間として定められています。
また、時間外労働には限度が労働基準法で定められています。原則として1か月45時間、1年360時間を超えないものとする必要があります。
労働時間がうやむやにならないように、タイムカード等による労働時間の記録などで労働時間を正確に把握する必要があります。
割増賃金が適用される場合とその際の賃金は以下の通りです。
- 時間外労働 25%以上
- 休日出勤 35%以上
- 深夜業(午後10時から翌日午前5時までの間の労働) 25%以上
また、割増賃金は重複して発生する場合もあります。
時間外労働が深夜業となった場合、時間外労働の25%と深夜業の25%を合算し50%以上の割増賃金を支払う必要があります。休日出勤が深夜業となった場合は60%以上の割増賃金をとなります。
しかし、休日出勤で時間外労働をした場合は例外です。法定休日(曜日は問わず、週1日もしくは4週を通じて4日)には、法定労働時間というものが存在しないのです。
そのため、休日出勤の場合は時間外労働に対する割増賃金は発生せず、割増賃金の重複はありません。
出典 法定労働時間と割増賃金について教えてください。|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
③手当や賞与の支給はされているか
特定技能外国人に対する手当や賞与については、雇用側がそもそも手当や賞与を取り入れていない場合、必ず支払う必要があるというわけではありません。
しかし、比較対象となる日本人従業者に手当や賞与が支給されている場合は、同等以上に定めなければなりません。
「日本人従業員に支給されている手当が、特定技能外国人には支給されていない」ということはあってはなりません。
④控除に関する説明を怠らない
給与から控除されるものも、特定技能外国人は日本人従業員と同等です。給与から控除されるものは一般的には以下の通りです。
- 厚生年金
- 雇用保険
- 住民税
- 源泉所得税
- 介護保険(40~60歳まで)
日本では、これらの項目が給与から控除される仕組みを事前に説明し、特定技能外国人が理解しておくことはとても重要です。
雇用側が説明を怠ってしまったり、説明しても特定技能外国人から十分な理解が得られていなかった場合、手取り額が少ないことに対して特定技能外国人から不満や不信感が出てトラブルになるケースもあります。
特定技能外国人が十分に理解できるように、母国語を入れた説明をしましょう。
特定技能外国人は必ず日本人と同等以上が原則
以上、特定技能外国人の賃金・給与の相場や注意点に関して解説いたしました。
繰り返しになりますが、特定技能外国人は労働基準法に基づいて、日本人従業員と同等以上の扱いであることが重要です。
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※本記事は現時点(2022年1月)で確認が取れている情報となります。制度変更や書類の書式変更などで内容が変更になることもございますので、実際に申請する場合は必ず出入国在留管理庁や在外公館まで直接お問い合わせいただくようお願い致します。