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みなさんこんにちは、SMILEVISAです!
近年、技能実習制度の見直しのニュースが報道され、気になっている方も多いのではないでしょうか?
今回は技能実習制度が何のために作られたのか、そしてどんな制度なのか?という点から、技能実習制度の概要をわかりやすくお伝えします!
技能実習制度の目的を知り、制度の疑問点を解決することで技能実習生を受け入れたい企業は正しく制度を利用できます。正しい制度の利用によって、実習生にとっても技術を習得しやすい環境を作り、お互いにとってメリットの多い関係づくりが可能となります。
技能実習制度とは?
「技能実習制度」は、平成5年に始まりました。日本が海外の国に対する国際貢献のため、開発途上国などの外国人を日本で一定期間(最長5年間)に限り受け入れ、実際の実務を通じてそれぞれの業種の技能を移転する制度です。
対象となる国は数多くあり、下記の国が技能実習制度の対象となっています。
- ベトナム
- カンボジア
- インドと
- フィリピン
- ラオス
- モンゴル
- バングラデシュ
- スリランカ
- ミャンマー
- ブータン
- ウズベキスタン
- パキスタン
- タイ
- インドネシア
日本国内の技能実習生は、令和4年末時点で日本全国で約32万人在留しており、多くの外国人が技能実習生として働いています。
技能実習制度の全体像として、出入国在留管理庁では下記の通りで提示しています。
図だけではあまりピンとこないかと思いますので、それぞれ下記の項目について詳しく解説していきます。
- 技能実習制度の目的とは
- 技能実習生1・2・3号とは
- 技能実習生の受け入れ方法
- 外国人技能実習機構とは
- 技能実習の賃金や働き方について
- 技能実習生としての在留期間は?
- 技能実習生の対象となる職種・業務は?
- 受入れできる技能実習生の人数上限は?
- 申請の手続きはどこでする?
①技能実習制度の目的とは
技能実習制度の目的は「日本の技術・知識を発展途上国に伝え、その地域の経済発展を成し遂げる人材育成に協力すること」です。
基本理念として、技能実習は労働力不足の解消のために働かせてはならないと定められています。一方で、技能実習生は日本の労働者と同じように労働関係の法律が適用され、適切に保護されなければいけません。
国際貢献・国際協力を目的としてつくられた制度であると理解し、実習生が技術の習得に専念できる支援体制をつくっていくことが大切です。
②技能実習生1・2・3号とは
技能実習には、1号、2号、3号と異なる種別が存在します。それぞれの特徴としては下記の通りです。
技能実習第1号 | 技能実習生として入国したあとに講習を受け、技能実習を開始する最初の1年間の技能実習生のこと |
技能実習第2号 | 技能実習第1号が技能検定試験(基礎級)を合格した場合に、その後2年間の実習期間の技能実習生のこと |
技能実習第3号 | 技能実習第2号が技能検定3級に合格した場合に移行が可能 |
※技能実習第2号の修了後に、技能実習第3号を開始する前または開始したあと1年以内に1か月以上の一時帰国が必要です
ちなみに、こちらの技能実習2号を良好に修了した場合は、該当する職種の特定技能1号へ移行することができます。技能実習2号から特定技能1号への移行方法については、こちらの記事(技能実習生から特定技能へどうやって移行したらいい?わかりやすく解説します!)が参考になります。
③技能実習生の受け入れ方法
技能実習制度では、下記の通り2通りの受け入れ方法があります。
【受入れ方法】
- 企業単独型…受入れ企業と密接な関係にある海外の企業から技能実習生を受入れる
- 団体監理型…監理団体が技能実習生を受入れて傘下の企業等で技能実習を行う
2通りありますが、企業単独型は海外に支社などがある企業のみが対象となるためレアケースです。多くの企業では、基本的に監理団体を通じて外国人を受け入れることが必要となります。
→企業単独型と団体管理型の違いについてはこちらの記事(【技能実習の受入れ方法】企業単独型と団体監理型の違いとは?)で紹介しています。
多くの企業が受け入れする際に利用する団体監理型では、さらに「一般監理事業」と「特定監理事業」に分類されます。
- 一般監理事業…技能実習第1号と第2号の受入れが可能で実習期間は最大3年まで
- 特定監理事業…すべての種類の技能実習生の受入れが可能で実習期間は最大5年まで
※第3号の受入れをする場合は一般監理事業の申請を外国人技能実習機構の本部事務所の審査課に申請し、大臣によって認定される必要があります。
④外国人技能実習機構とは
技能実習制度では、制度の適切な実施と技能実習生の保護業務を担当する「外国人技能実習機構」という機関があります。
外国人技能実習機構では、具体的に下記の業務を行います。
- 技能実習計画の認定
- 実習実施者や監理団体に対する指導や届出の受理
- 技能実習生からの相談に応じ、対処する
この中で技能実習計画というものがありますが、監理団体や実習実施者は、外国人技能実習機構に技能実習計画の認定をもらわないと実習を始めることはできません。
外国人技能実習機構の本部は東京、全国13か所に地方事務所を置いて業務を行っており、技能実習制度が正しく運用されているかを日々チェックし、指導を行っています。
⑤技能実習の賃金や働き方について
技能実習生の賃金は、実習生という理由や監理団体に支払う監理費がかかるなどの理由によって低賃金になることが発生してはいけません。
技能実習生に業務内容や責任について理解できるように説明したうえで、同程度の能力のある日本人労働者と同程度以上の報酬であることを伝える必要があります。
同程度の能力の日本人労働者がいない場合は、受入れ企業の賃金規定または技能実習生の能力に近い業務を行う日本人労働者と比較して説明を行います。
また、技能実習生の働き方について、原則として下記の労働は基本的に認められていません。
- 時間外労働
- 休日労働
- 深夜労働
業務上の事情によってやむを得ない場合は上記の労働が許可されますが、適切な指導ができる体制がつくられていることが必須となります。
※時間外労働の上限は、原則として月45時間、年360時間と決められています。
⑥技能実習生としての在留期間は?
技能実習の期間は第1号技能実習であれば1年以内、第2号または第3号技能実習の場合は2年以内と決められています。つまり、技能実習生としては合計で5年間の実習を行うことができるということです。
⑦技能実習生の対象となる職種・業務は?
2023年4月現時点で、技能実習として従事できる業務は下記の通りとなります。
技能実習制度は技術や知識を発展途上国に伝える目的であることから、同じ作業を繰り返し行うことで習得できる程度の業務は実習内容として認められません。
第1号技能実習生は、技能検定や技能実習評価試験の合格などの目標を達成することで、第2号・第3号へと移行できますが、その場合は技能試験などが実施されている「移行対象の職種・作業」である必要があります。
※移行対象の職種・作業はこちらの厚生労働省HPから確認できます。
※移行対象の職種・作業であって同じ実習実施者である場合に限り、複数の職種・作業を組み合わせた実習を行うことが認められています。
⑧受入れできる技能実習生の人数上限は?
技能実習制度では、受入れできる技能実習生の人数について下記の決まりがあります。
受入れ企業の常勤職員の人数 | 技能実習生の人数 |
301人以上 | 常勤職員の20分の1 |
201人以上300人以下 | 15人 |
101人以上200人以下 | 10人 |
51人以上100人以下 | 6人 |
41人以上50人以下 | 5人 |
31人以上40人以下 | 4人 |
30人以下 | 3人 |
第2号の技能実習生は、上記人数の2倍の受入れができます。
企業単独型については、出入国在留管理局または厚生労働大臣により継続して安定的に受入れができる体制と認められない場合は、上記の受入れ人数より少ない受入れ枠となります。
一方で、優良な実習実施者・管理団体と認定された場合は人数枠が第1号で2倍、第2号で4倍、第3号で6倍と多くの技能実習生の受入れが可能です。
どのような場合であっても、下記の人数を超えた受入れはできないため注意が必要です。
・第1号技能実習生…通常の職員の総数
・第2号技能実習生…通常の職員の総数の2倍
・第3号技能実習生…通常の職員の総数の3倍
⑨申請の手続きはどこでする?
技能実習制度で必要な手続きは、大きく分けて出入国在留管理局と外国人技能実習機構に申請するものがあります。
【出入国在留管理局に申請するもの】
技能実習生の入国や出国に関する申請を行います。手続きには下記の申請内容があります。
- 在留資格の認定申請
在留資格の認定申請については、こちらの出入国在留管理庁のサイト「在留資格 技能実習」から確認が可能です。
【外国人技能実習機構に申請するもの】
監理団体や技能実習に関する申請を行います。手続きには下記の申請内容があります。
- 技能実習計画の認定申請
- 監理団体の許可申請
詳しくはこちらの外国人実習機構のサイトから確認が可能です。
制度を正しく理解して技能実習生を受入れましょう!
以上、技能実習制度の概要と疑問点について解説しました。
技能実習制度は何のためにあるのか、本来の目的を理解することができたのではないでしょうか。技能実習制度の内容を正しく理解したうえで、適切な技能実習生の受入れを行いましょう!
SMILEVISAでは特定技能外国人の書類の申請を効率化するシステムと、自社支援切り替えに対するサポートを提供しています。今後技能実習から特定技能へ切り替える際に自社支援をご検討されている方は、お気軽にご相談ください!
※本記事は現時点(2023年4月)で確認が取れている情報となります。制度変更や書類の書式変更などで内容が変更になることもございますので、実際に申請する場合は必ず出入国在留管理庁や在外公館まで直接お問い合わせいただくようお願い致します。