特定技能の漁業分野とは?
こんにちは!SMILEVISAです。
「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律」(平成30年法律第102号)が、平成31年4月1日から施行されたことに伴い、漁業分野でも協議会が設置されています。今回の記事では、漁業分野の特定技能を受け入れる場合に必要な協議会の加入の流れや注意点についてお伝えしています。
特定技能の外国人を受け入れる機関は、協議会への加入する必要がありますので、この記事で申請の手順や必要な書類を確認してください。特定技能を受け入れる際には、受け入れ機関としての注意点もきちんと把握しましょう。
漁業分野の協議会について
漁業分野の協議会の名称は「漁業特定技能協議会」です。水産庁で運用と管理を行っており、平成31年4月1日に施行されました。漁業分野で受け入れ可能な外国人は特定技能1号と2号の両方です。
また漁業分野は、漁業特定技能協議会の管轄となっています。漁業分野の協議会内の構成は漁業分科会(漁業職種の受入れ機関・漁業職種の業界団体等・水産庁)と養殖業分科会(養殖業職種の受入れ機関・養殖業職種の業界団体等・水産庁)があります。こちらに加えて関係省庁や国際研修協力機構も構成機関となっています。詳しくは「特定技能外国人材の受入れ制度について(p15)」からご確認可能です。
漁業特定技能協議会に関する詳細は水産省のホームページから確認できます。
漁業特定技能協議会の目的と役割
漁業特定技能協議会は、構成員が相互に連絡を図ることにより特定技能外国人の受け入れを適正に行い、特定技能外国人の保護に有用な情報を共有すること、構成員の連携の緊密化を図ることを目的としています。また特定技能の在留資格に係る制度を適正に運用する役割もあります。
日本の漁業分野における人手不足は、日々深刻化しています。専門性と技能が必要となる漁業分野にて、特定技能の外国人を即戦力として受け入れることで、今後の事業発展と継続可能な事業基盤を築くことが目的です。漁業特定技能協議会は、生産性を向上するための取り組み・国内人材確保のための取り組みに注力しています。
漁業分野協議会の内容
協議会は外国人の適正な受入れ及び外国人の保護に有用な情報を共有し、次の事項について協議を行います。
・漁業分野に特有の事情に応じた固有の措置の設定
・外国人の受入れ状況の把握
・不正行為に対する再発防止策
・構成員に対する必要な情報の提供その他外国人の適正な受入れ及び外国人の保護に資する取り組み
業種区分「漁業」と「養殖」に分けて協議されています。以下のリンクの水産省ホームページよりそれぞれの分科会の詳細を確認することができます。
分科会での協議内容は、漁業特定技能協議会漁業分科会及び養殖業分科会の設置をご参照ください。
漁業分野の構成員
特定技能を受け入れる場合、受け入れ機関は協議会に加入し構成員になる必要があります。漁業分野の構成員は、特定技能外国人を雇用する受入れ機関を「1号構成員」、1号構成員を指導や助言する立場にある団体を「2号構成員」・登録支援機関を「3号構成員」と呼びます。
漁業特定技能協議会の構成員として認められている機関
漁業分野の構成員に該当する機関は以下の通りです。
- 次の①②いずれかの該当者 【①漁業分野の特定技能雇用契約の相手方となる公私の機関(会社・国・地方公共団体・独立行政法人・公益法人など)以下「1号構成員」という。②漁業分野において派遣形態により派遣された特定技能外国人を受け入れることとなる公私の機関(会社・国・地方公共団体・独立行政法人・公益法人など)※「1号副構成員」という。】
- 1号構成員を直接・間接に構成員とする、または1号構成員を指導や助言をする立場にある団体※「2号構成員」という。
- 漁業労働に精通している労働組合
- 農林水産省並びに法務省、警察庁、外務省、厚生労働省及び国土交通省
- その他協議会が必要と認める者
引用:漁業特定技能協議会運営要領第3条(P2)より
登録支援機関は必ずしも構成員になる必要はありませんが、1号構成員又は3号構成員になる場合は、協議会への資格申請は必要です。
漁業特定技能協議会の2号構成員について
特定技能外国人を受け入れようとしている漁業者・養殖業者は、営む漁業や養殖業を所管している全国団体に所属し、必要な指導・助言を受ける必要があります。所属する構成員は業務内容によりことなります。詳しくは以下の通りです。
引用:漁業特定技能協議会1号構成員資格証明書交付手続に関する Q&A(P4)より
漁業特定技能協議会の構成員の資格
漁業特定技能協議会の構成員は協議の内容や情報共有を適切に行い、制度の適正な運用に協力する必要があります。協議会の構成員になる資格は以下の通りです。
- 漁業分野の特定技能雇用契約の相手の国と公私の機関(会社・国・地方公共団体・独立行政法人・公益法人など)であり、2号構成員から直接または間接に所属や指導を受けること。
- 特定技能の在留資格に係る制度その他外国人の受入れを正しく理解していること。
- 協議会において協議が調った事項に対して、適切に対応すること。
- 協議会とその構成員が行う報告の徴収、資料の要求、現地調査その他の指導に対し、必要な協力を行うこと。
- ※出入国管理及び難民認定法(昭和 26 年政令第 319 号)別表第1の2の表の特定技能の項の下欄第1号に掲げる活動を行おうとする外国人を労働者派遣等の対象とする場合にあっては、前号に規定する必要な協力を行う者に当該外国人に係る労働者派遣等をすることとしていること。
- 登録支援機関に1号特定技能外国人支援計画の全部の実施を委託する場合にあっては、登録支援機関(3号構成員)に委託していること。
- 国内人材の確保に資する取り組みを行っていること。ただし、上記※にある労働者派遣等のみを行う場合を除く。
- 生産性の向上に資する取り組みに努めていること。ただし、上記※事項にある労働者派遣等のみを行う場合を除く。
- 特定技能の在留資格に係る制度の運用に当たり、構成員間で紛争が生じた場合にあっては、その解決のため、当事者間において誠実に協議を行うこと。
引用:漁業特定技能協議会構成員資格取扱要領より
漁業分野の雇用形態について
直接雇用と労働者派遣形態での雇用が可能です。労働者派遣形態(船員派遣形態を含む)の場合、その労働者派遣事業者は、地方公共団体・漁業協同組合・漁業生産組合・漁業協同組合連合会・その他漁業に関連する業務を行っている者が関与していることが条件です。
また労働者派遣法等に基づき、派遣事業の許可を受けることが必要です。派遣形態での雇用については申請等が必要になりますので、派遣形態による特定技能外国人の受け入れについてから詳しく確認してください。
漁業分野の協議会に加入する流れ
協議会へ加入するために、1号構成員になる手続きが必要です。書類の取りまとめや提出については手続きの所属する2号構成員が行います。どの2号構成員に所属するかは漁業特定技能協議会1号構成員資格証明書交付手続に関するQ&A(P4)からも確認可能です。
業務内容により所属する2号構成員が複数存在するケースもあります。2号構成員間で情報共有の必要があるため、記載方法についてそれぞれの団体にご相談ください。
漁業特定技能協議会加入に必要な書類
申請とは別に書類の準備が必要となります。必要書類は以下の通りです。
1.雇用契約及び支援計画の概要(在留申請の関係書類の写し)
・特定技能雇用契約書
・雇用条件書
・1号特定技能外国人支援計画書
・支援委託契約書(登録支援機関を使用する場合)
・派遣計画書(派遣形態の場合)
・就業条件明示書(派遣形態の場合)
・派遣先の概要書(漁業分野)(派遣形態の場合)
・派遣許可書(派遣形態の場合)
2.協議会において協議が調った事項に関する措置を講じていることが確認できる書類(養殖業のみ)
3.その他基準への適合の確認に必要な書類(漁業分野)(特定技能外国人が乗り込む漁船の配乗状況表)
引用:漁業特定技能協議会1号構成員資格証明書交付手続規則より
漁業特定技能協議会の申請書の記入
必要な申請書は「漁業特定技能協議会1号構成員加入申請書」「漁業分野特定技能1号構成員申請内容」の2点です。
①【様式第1-1号】漁業特定技能協議会1号構成員加入申請書
引用:水産省ホームページ「漁業特定技能協議会」より
②【様式第1-2号】漁業分野特定技能1号構成員申請内容
「1号構成員の氏名又は名称」には、法人の場合は法人名、個人の場合は氏名を記載してください。1号構成員資格証明書には記載された氏名(法人名)を記載します。
「関係2号構成員」には、所属する2号構成員の名称を記載してください。※所属する2号構成員が複数存在する場合は要確認。
また受入れを予定している全ての特定技能外国人の情報を記載してください。
引用:水産省ホームページ「漁業特定技能協議会」より
申請書については水産省ホームページからダウンロードが可能です。以下のURLより、それぞれの書類をダウンロードしてください。
【様式第1-1号】漁業特定技能協議会1号構成員加入申請書
【様式第1-2号】漁業分野特定技能1号構成員申請内容
申請書の提出
必要書類の準備が整い次第、申請書2点と併せて2号構成員に提出してください。
加入申請に必要な書類は、所属する2号構成員である団体(またはその傘下団体)へ提出する必要があります。2号構成員が必要書類をまとめて共同事務局(一般社団法人大日本水産会)へ提出する流れとなります。
1号構成員は2号構成員の所属が条件となります。令和5年時点での2号構成員のリストは漁業特定技能協議会構成員から確認できます。1号構成員をなった際には漁業や養殖業を所管している全国団体に所属し、必要な指導と助言を受けます。
漁業特定技能協議会加入通知書の交付
全ての書類を提出し、登録が済むと「漁業特定技能協議会1号構成員資格証明書」が発行され加入手続き完了となります。
もし証明書を紛失した際は、【様式第3号】漁業特定技能協議会加入資格証明書再発行申請書から再発行の申請が可能です。また手続きの規定については、漁業特定技能協議会1号構成員資格証明書交付手続規則からご確認いただけます。
登録内容の変更と退会について
特定技能を受け入れるごとに加入申請を行う必要はあが、特定技能外国人の転職又は帰国や、新たな人材を受け入れるなど、協議会加入時に報告していた情報から変更が生じる場合は、所属している2号構成員に連絡してください。
受け入れ機関(1号構成員)の住所や名称が変更となった場合は、様式第3号より資格証明書再発行申請を行ってください。
また特定技能外国人の受け入れをやめた時点で、速やかに2号構成員を通じて一般社団法人大日本水産会(漁業特定技能協議会の共同事務局)に報告し、漁業特定技能協議会退会届出申請書を提出します。ただし、新しい受け入れの予定が既にある場合は退会手続きの必要はありません。
漁業特定技能協議会への加入費用について
協議会への加入にあたり、所属している2号構成員によっては、徴収がある場合もありますので申請先となる2号構成員にお問い合わせください。
漁業分野の協議会へ加入する際の注意点
協議会へ加入する際の注意点や特定技能を受け入れる場合に、気を付けておきたいポイントについて、お伝えします。
従事可能な業務内容について
漁業分野での従事可能な業務は、1号と2号で内容が異なりますので注意しましょう。以下が従事可能な業務内容の詳細です。
1号特定技能外国人
漁業(漁具の製作・補修、水産動植物の探索、漁具・漁労機械の操作、水産動植物の採捕、漁獲物の処理・保蔵、安全衛生の確保等)
養殖業(養殖資材の製作・補修・管理、養殖水産動植物の育成管理、養殖水産動植物の収獲(穫)・処理、安全衛生の確保等)
2号特定技能外国人
漁業(漁具の製作・補修、水産動植物の探索、漁具・漁労機械の操作、水産動植物の採捕、漁獲物の処理・保蔵、安全衛生の確保等)、操業を指揮監督する者の補佐、作業員の指導及び作業工程の管理。
養殖業(養殖資材の製作・補修・管理、養殖水産動植物の育成管理、養殖水産動植物の収獲(穫)・処理、安全衛生の確保等)、養殖を管理する者の補佐、作業員の指導及び作業工程の管理。
上記以外の関連業務についても従事可能な業務として認められています。詳しくは特定技能外国人材の受け入れ制度について(P9)にて確認が可能です。
加入する時期について
令和6年6月15日からは、在留申請の際に協議会の構成員であることの証明書の提出が必要となりました。そのため、在留申請を行う前に協議会加入が必要となります。
※令和6月14 日より前において特定技能を受け入れる場合※
入管に申請をする際、入国後4か月以内に「特定技能外国人の協議会の構成員となる旨の誓約書」の提出が必要です。
受け入れ機関に課せられる条件
特定技能の受け入れを行う場合の条件は以下の通りです。
・特定技能外国人材を受け入れた日から4ヶ月以内に協議会の構成員になること。
・協議会にて協議が調った措置を講じること。
・協議会及びその構成員に対し必要な協力を行うこと。
また特定技能外国人が大都市圏その他の特定の地域に過度に集中して就労することとならないよう以下の対応が必要です。
・漁村は各地方に点在していますが、どの受け入れ外国人も円滑に生活を送れるよう、漁業活動やコミュニティ活動の中心となっている漁業協同組合等が適切な役割を果たすための必要な支援を行う。
・ 漁村地域によっては閑散期と繁忙期が存在します。漁業の時期等、年間を通じて安定的な漁業生産が期待できない事情を考慮し、特定技能外国人が従事可能な漁業関連業務の範囲について柔軟に対応する。
協議会への加入はお早めに
漁業分野の協議会は「漁業特定技能協議会」です。協議会は特定技能の雇用と、漁業分野の今後の発展のために大切な機関です。特定技能を受け入れる場合は、受け入れ機関も構成員としての役割を責任を持って果たしましょう。また漁業分野の協議会には、漁業と養殖の分野があり、書類や規則等で一部異なる点もありますので確認が必要です。
協議会への加入は、受け入れ日から4か月以内に必ず手続きを済ませてください。提出書類が多いので、不備がないようにすることはもちろん、余裕をもって対応してください。協議会へ加入するにあたって、2号構成員との関係性も大変重要です。受け入れ機関は、どこの所属になるのかを把握し、常に連携を取るようにしてください。退会や登録内容の変更などについても、速やかに行いましょう。
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※本記事は現時点(2024年7月)で確認が取れている情報となります。制度変更や書類の書式変更などで内容が変更になることもございますので、実際に申請する場合は必ず出入国在留管理庁や在外公館まで直接お問い合わせいただくようお願い致します。