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皆さんこんにちは!特定技能の書類作成・人材管理システムを提供しているSMILEVISAです。
令和6年3月29日、自動車運送業が特定技能に新分野として追加されることが決定しました。人手不足が心配される分野である自動車運送業、受け入れを考えている企業様も多いのではないでしょうか。
今回は、自動車運送業の職種や要件について、現時点(2025年2月)で公開されている情報を元にわかりやすくまとめました。
※2025年2月17日に最新の運用要領が公表されました。本記事は最新情報を随時アップデートしています。
自動車運送業で追加される職種・業務内容は?

自動車運送業とは、トラック運送、バス、タクシーの運転手を想定しています。受け入れ見込み人数は向こう5年で最大2万4500人です。
この人数は、自動車運送業分野において令和6年度からの5年間で28万8000人程度の人手不足が予測される中、国内で生産性向上や労働環境整備等による国内人材の確保をもってしてもなお不足する人数とされています。
業務区分は、事業用自動車(トラック、タクシー、バス)の運転、運転に付随する業務全般とされています。
自動車運送業に求められる技能水準は?
自動車運送業の特定技能1号にはトラック、タクシー、バスの3つがあります。それぞれどのような業務が可能なのかは出入国在留管理庁の運用要領により下記のとおり定められています。
トラック運送業
運行管理者等の指導・監督の下、貨物自動車運送事業における運行前後の点検、安全な運行、乗務記録の作成や荷崩れを起こさない貨物の積付け等ができる。
タクシー運送業
運行管理者等の指導・監督の下、一般乗用旅客自動車運送事業における運行前後の点検、安全な運行、乗務記録の作成や乗客対応等ができる。
バス運送業
運行管理者等の指導・監督の下、一般乗合旅客自動車運送事業、一般貸切旅客自動車運送事業又は特定旅客自動車運送事業における運行前後の点検、安全な運行、乗務記録の作成や乗客対応等ができる。

受け入れ企業に求められる要件は?

受け入れ企業には、下記の要件が要求されます。
- 国土交通省が設置する「自動車運送業分野特定技能協議会」の構成員になること。 協議会に対し必要な協力を行うこと。
- 特定技能所属機関は、国土交通省又はその委託を受けた者が行う調査又は指導に対し、必要な協力を行うこと
- 特定技能所属機関は、道路運送法(昭和26年法律第183号)第2条第2項に規定する自動車運送事業(貨物利用運送事業法(平成元年法律第82号)第2条第8項に規定する第二種貨物利用運送事業を含む。)を経営する者であること。
- 特定技能所属機関は、一般財団法人日本海事協会が実施する運転者職場環境良好度認証制度に基づく認証を受けた者又は全国貨物自動車運送適正化事業実施機関(貨物自動車運送事業法(平成元年法律第83号)第43条に規定する全国貨物自動車運送適正化事業実施機関をいう。)が認定する安全性優良事業所を有する者であること。
- タクシー運送業及びバス運送業における特定技能所属機関は、特定技能1号の在留資格で受け入れる予定の外国人に対し、新任運転者研修を実施すること。
- 特定技能所属機関は、登録支援機関に1号特定技能外国人支援計画の実施を委託するに当たっては、協議会の構成員となっており、かつ、国土交通省及び協議会に対して必要な協力を行う登録支援機関に委託すること。
出入国在留管理庁「特定技能の運用要領」より引用
つまり、基準を満たす事業者であること、協議会に加入すること、新任運転者研修を実施する(バス、タクシーの場合)等の条件を満たせば特定技能外国人の受け入れが可能ということになります。
基準を満たす事業者であることについては、下記の3点があります。
①特定技能を受け入れる事業所は、日本標準産業分類に掲げる産業のうち、 次のいずれかに掲げるものを行っていること
- 43 道路旅客運送業
- 44 道路貨物運送業
②運転者職場環境良好度認証制度に基づく認証又は安全性優良事業所の保有
自動車運送業分野においては、事業用自動車の運行管理が適切になされない場合は事故の危険性が発生する可能性があり、また労務管理が適切にされない場合は外国人の過重労働につながってしまいます。
そのため、特定技能外国人の受け入れ企業は一般財団法人日本海事協会が実施する「運転者職場環境良好度認証制度の認証」の取得、又はトラック運送業においては、全国貨物自動車運送適正化事業実施機関が認定する「安全性優良事業所」の保有が求められます。

参考:自動車運送事業者の働きやすい職場認証制度 | 「運転者職場環境良好度認証制度」

③新任運転者研修の実施
タクシー運送業及びバス運送業における特定技能外国人の受け入れ企業は、特定技能1号の在留資格で受け入れる予定の外国人に対し、新任運転者研修を実施する必要があります。
また、雇用に関しては、直接雇用に限られており、派遣は認められていません。特定技能外国人を受け入れる場合は登録支援機関に委託する方法と、社内で特定技能外国人を管理する自社支援という2つの方法があります。詳しくはこちらの記事で解説しています。

特定技能・自動車運送業の協議会加入について
先ほど、特定技能を自動車運送業で受け入れるためには協議会の加入が必要と記載がありました。協議会加入については、令和7年1月17日に、自動車運送業分野特定技能協議会の構成員の募集が開始されました。問い合わせ先については、国土交通省のこちらのサイトより公表されています。
また、自動車運送業で在留申請をする際に、受け入れ企業は下記の書類の提出が必要となります。
- 自動車運送業分野における特定技能外国人の受入れに関する誓約書(分野参考様式第15-1号)(特定技能所属機関)
- 自動車運送業分野特定技能協議会の構成員であることの証明書(特定技能所属機関)
協議会の加入には時間がかかることもあります。協議会の加入は、在留資格申請の前となっているため、自動車運送業で受け入れを始めたいと考えている場合は1~3か月前には加入申請を終えておくようにしましょう。
外国人に求められる要件は?

特定技能1号として申請するためには、外国人が下記の要件を満たす必要があります。
- 自動車運送業分野特定技能1号評価試験へ合格する
- 対象となる運転免許証の取得
- 一定レベル以上の日本語能力
詳しくは下記の通りで定められています。
特定技能1号(トラックの場合)
特定技能1号試験 | 運転免許 | 日本語能力 |
自動車運送業分野特定技能1号評価試験(トラック) | 第一種運転免許 | ・日本語能力試験N4以上 もしくは ・国際交流基金日本語基礎テス ト合格 |
※トラックの日本語能力に関しては、技能実習2号を良好に修了した場合、職種・作業の種類にかかわらず、ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の日本語能力水準を有するとみなされて日本語試験は免除されます。
特定技能1号(タクシーの場合)
特定技能1号試験 | 運転免許 | 日本語能力 |
自動車運送業分野特定技能1号評価試験(タクシー) | 第二種運転免許 | 日本語能力試験N3以上 |
特定技能1号(バスの場合)
特定技能1号試験 | 運転免許 | 日本語能力 |
自動車運送業分野特定技能1号評価試験(バス) | 第二種運転免許 | 日本語能力試験N3以上 |
運転免許については、下記で取得する必要があります。
トラック運送業
各都道府県公安委員会が行う第一種運転免許試験(道路交通法(昭和 35 年法律第 105 号)第 97 条の2第3項に規定する運転免許試験の一部免除による免許取得(いわゆる外免切替制度)を含む。)
タクシー運送業及びバス運送業
各都道府県公安委員会が行う第二種運転免許試験
免許については、外国で取得した運転免許証を日本の運転免許証に切り替える「外免切替」も認められています。詳しくは各都道府県警察の運転免許センターにお問い合わせください。
また、福岡においては全国に先駆けて、福岡県警が、全国で初めてバスやタクシーの運転手に必要な第2種免許の学科試験を英語など4つの外国語で受験できる運用を始めたというニュースが発表されました。
こちらは3月27日から県内4つの試験場で可能となっており、英語、中国語、ベトナム語、ネパール語に対応しています。詳細についてはこちらのNHK「全国初 2種免許試験を外国語で受験できる運用開始 福岡県警」よりご確認いただけます。

自動車運送業の特定技能1号試験の概要
自動車運送業にはトラック、タクシー、バスの運転手の3種類がありますが、それぞれ特定技能外国人1号試験については下記に合格する必要があります。
特定技能1号自動車運送業「トラック」の場合
名称 | 自動車運送業分野特定技能1号評価試験(トラック) |
試験言語 | 日本語 |
実施主体 | 一般財団法人日本海事協会 |
実施方法 | 学科試験及び実技試験(コンピューター・ベースド・テスティング (CBT)方式又はペーパーテスト方式) |
特定技能1号自動車運送業「タクシー」の場合
名称 | 自動車運送業分野特定技能1号評価試験(タクシー) |
試験言語 | 日本語(第二種運転免許の学科試験に準拠した内容については現地語 を併記 ) |
実施主体 | 一般財団法人日本海事協会 |
実施方法 | 学科試験及び実技試験(コンピューター・ベースド・テスティング (CBT)方式又はペーパーテスト方式) |
特定技能1号自動車運送業「バス」の場合
名称 | 自動車運送業分野特定技能1号評価試験(バス) |
試験言語 | 日本語(第二種運転免許の学科試験に準拠した内容については現地語 を併記 ) |
実施主体 | 一般財団法人日本海事協会 |
実施方法 | 学科試験及び実技試験(コンピューター・ベースド・テスティング (CBT)方式又はペーパーテスト方式) |
出入国在留管理庁の運用要領より引用
自動車運送業分野の特定技能1号評価試験の詳細については下記の通りです。
受験資格
- 試験受験日において、満17歳以上であること。
- 試験受験日において、有効な日本又は外国で取得した自動車運転免許を保有していること。
- 国内で受験する場合は、在留資格を有していること。
- 退去強制令書の円滑な執行に協力するとして法務大臣が告示で定める外国政府又は地域の権限のある機関の発行した旅券を所持していない者でないこと。
受験料
受験料(国内) | 受験料(海外) | 証明書発行手数料 |
---|---|---|
5,000 円(税抜) | 37⽶ドル※ | 14,000 円(税抜) |
自動車運送業の特定技能1号試験については、受験方法に下記の2通りがあります。
試験形式
(1)出張方式:申請者(法人)が希望する会場でペーパーテストを実施。
(2)CBT方式:テストセンターにてコンピュータを使用して実施。
2つの試験形式がありますが、CBT方式による試験は準備中となっているため、先行して出張方式(ペーパーテスト)での試験が開始されています。CBT方式による試験は2025年3月より開始予定です。
(1)出張方式:申請者(法人)が希望する会場でペーパーテストを実施
受け入れ企業が試験の申し込みをする場合の流れは以下の通りです。

STEP①
最初に事前調整調査票を記入(事前調整調査票)し、弊会交通物流部(ssw_et@classnk.or.jp)に提出。事前調整が完了したら、出張試験の申請を行う。
STEP②
特定技能試験申請システムを利用し、アカウント登録以降の手続きを行う。システムの操作については操作マニュアルを参照の上、手続きを行う。受験を希望する外国人(受験者)を登録し、試験申請(出張方式)を行う。この際に事前調整として日本海事協会交通物流部までメールか電話で連絡する必要があるので注意してください。
STEP③
試験を実施し、結果がシステムを通じて通知されるため確認する。
(2)CBT方式:テストセンターにてコンピュータを使用して実施
受験者本人が申請する場合の流れは以下の通りです。CBT方式による試験は2025年3月から試験申請が開始予定です。

特定技能試験申請システムにアクセスし、申請手続きを行います。
試験実施国は以下の通りです。
試験実施国 | 日本 ネパール インド インドネシア ミャンマー カンボジア フィリピン ※太文字は左側通行の国 |
合否結果は、試験後1週間程度でシステム上で確認できます。海外で試験を受けた場合は、さらに時間がかかる可能性があります。
参考:一般財団法人日本海事協会「自動車運送業分野特定技能1号評価試験」より
自動車運送業における「特定活動」について
自動車運送業については、①運転免許証を国内で取得する必要があること②バス・タクシーにおいては新任運転研修が必要になることから、ある一定期間は日本への滞在が必要です。
そのため、運転免許の取得や新任運転者研修の受講のため、運転免許の取得や新任運転者研修の受講以外の要件を満たした外国人については、受け入れ企業との雇用契約の下に「特定活動」の在留資格で日本へ入国・滞在が可能です。
特定活動の在留資格を得るためには、運転免許の取得や新任運転者研修の受講を除いて、特定技能1号申請時と同様の要件を満たす必要があります。
主な要件
- 特定自動車運送業準備外国人本人の要件(特定技能1号と同様)
- 雇用契約及び所属機関に関する要件
- 特定自動車運送業準備外国人支援計画に関する要件
詳しくは、出入国管理庁ホームページの特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領 -自動車運送業分野の基準についてをご覧ください。
在留資格「特定活動」における在留期間の上限
トラック運送業 | 6か月 |
タクシー運送業及びバス運送業 | 1年 |
※この間の期間については「特定技能1号」の在留資格としての通算在留期間にカウントされません。
つまり、流れとしては自動車運送業分野特定技能1号評価試験に合格したら特定活動として日本へ入国し、運転免許の取得や講習の受講を行う形になります。
また、「特定活動」による在留中には、上記の手続等のほか、受入れ機関における車両の清掃といった関連作業に従事することが認められています。
特定活動についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
自動車運送業で特定技能を受け入れる際の注意事項
特定技能を自動車運送業で受け入れる際に知っておくべきことは以下の通りです。
運転免許の取得費用は、受け入れ企業が負担することが望ましいとされている
出入国管理庁の自動車運送業の運用要領(P15)においては、
運転免許の取得費用の負担については、所属機関が負担することが望ましいですが、受入れ外国人(受け入れる予定の外国人を含む。以下同じ。)本人が負担する場合は、採用時等に受入れ外国人が十分に理解できる言語による説明を行うなど、丁寧な説明を心掛け、事前に受入れ外国人の了承を得るようにしてください。)
とされており、免許取得には費用が掛かることから企業側で負担することが推奨されています。しかしながら、外国人が負担することも問題がないとされています。また、受入れ外国人の運転免許の取得費用は受け入れ機関が取得費用を賃金に含めて補填することは、問題ないとされています。
特定技能・自動車運送業についてのよくある質問と回答
質問:特定活動の期間中に日本の自動車運転免許を取得できなかった場合はどうなりますか?
特定活動期間中に日本の自動車運転免許を取得できなかった場合は、特定技能のビザを取得することはできません。また、特定活動のビザを延長することはできないため、定められた期間内に取得をするようにしてください。
質問:自動車運送業分野特定技能協議会に先に加入したいのですが、どうしたらいいですか?
回答:2025年1月17日より協議会加入受け付けが開始されました。詳しくは国土交通省ホームページの加入届出書フォームより申請してください。
質問:第二種運転免許の受験資格は普通免許等の運転経歴が通常3年以上必要ですが、海外における運転経歴でもよいのでしょうか?
回答:海外における運転経歴でも問題ありません。詳細は警察庁にお問い合わせください。
質問:母国で大型免許を取得している場合は、どのような流れで外免切替をすればよろしいでしょうか?
回答:母国で大型免許を取得している場合は、特定活動期間に普通免許に切り替えて、その後の特定技能期間に大型免許に切り替えてください。

自動車運送業での特定技能受け入れの準備をしておきましょう
以上、特定技能の自動車運送業について解説しました。特定技能の受け入れ手続きは複雑で、多くの時間と労力を要します。
SMILEVISAではこれから特定技能を自社支援で受け入れていきたい、特定技能の管理費を大幅にコストカットしたい、書類の申請を効率化したい!とお考えの受入れ企業様向けの特定技能管理システムを提供しています。
自社支援の開始に自信がない方でも、問題なく自社支援に切り替える伴走サポートもございます。当社をご利用した100%の企業様が自社支援を成功させています。特定技能の自社支援をご検討の方は、ぜひお問い合わせよりお気軽にご相談ください!

※本記事は現時点(2025年2月)で確認が取れている情報となります。制度変更や書類の書式変更などで内容が変更になることもございますので、実際に申請する場合は必ず出入国在留管理庁や在外公館まで直接お問い合わせいただくようお願い致します。