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みなさんこんにちは!
SMILEVISAです。
技能実習や特定技能のニュースなどで、外国人の失踪についてのニュースを目にしたことがあるのではないでしょうか?
しかし、ニュースで見ている内容はごく一部に過ぎず、実際には様々な事情により失踪してしまう外国人が少なくなくありません。今回の記事では技能実習と特定技能外国人の失踪率について詳しくご紹介します。
技能実習生の失踪状況は?
技能実習生については、出入国在留管理庁より令和3年におけるデータが公表されています。
出入国在留管理庁「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議(第1回)」より引用
こちらのデータによれば、技能実習生の失踪者数は全国で7,167名となり、国籍別にみるとベトナムが全体の60%以上を占めています。また、分野別にみると建設分野での失踪が50%超となっており、国籍や分野に偏りがあることが見られます。
また、失踪率については全体の1.8%となっています。
一方で、特定技能の失踪率を見ていきましょう。
特定技能外国人の失踪状況は?
一方で特定技能の失踪者(行方不明者)については、どうでしょうか。
出入国在留管理庁「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議(第1回)」より引用
このデータを見ると、特定技能の失踪者については令和3年度で76名と技能実習の失踪者と比べてかなり少ないことがわかります。また、分野においても農業や飲食料品製造業が多くを占めています。
また、失踪率については全体の0.14%となっています。
※出入国在留管理庁によると現時点(2023年6月現在)ではこちらに記載している以外の失踪に関するデータはないとのことなので、最新情報となります。
特定技能外国人の失踪はまれ、その原因は?
これまでのデータを比較すると、技能実習生の失踪の人数は7,167名に対し、特定技能外国人の失踪人数は76名とかなりの差があることがわかります。
特定技能外国人の失踪がまれである理由としては、転職が可能であることがあげられます。例えば職場や人間関係について悩みや不満があった場合でも、他社に転職することができます。
つまり、特定技能外国人にとっては失踪する方がデメリットが大きいとも言えます。
特定技能外国人が失踪したらペナルティはある?
万が一特定技能外国人が失踪してしまった場合、受入れ企業側にペナルティはあるのでしょうか。
結論から申し上げますと、ペナルティはあります。特定技能外国人の受入れ要件の中に、下記の文言があることはご存じでしょうか。
【関係規定】
特定技能基準省令第2条
法第2条の5第3項の法務省令で定める基準のうち適合特定技能雇用契約の適正な履行の
確保に係るものは、次のとおりとする。三 特定技能雇用契約の締結の日前1年以内又はその締結の日以後に、当該特定技能雇用契
出入国在留管理庁「特定技能運用要領・各種様式等/特定技能外国人の受入れに関する運用要領」より抜粋
約の相手方である特定技能所属機関の責めに帰すべき事由により、外国人の行方不明者を
発生させていないこと。
つまり、受入れ企業が雇用する外国人について、受入れ企業側の原因により行方不明者を発生させている場合には、「受入れ体制が十分ではない」とみなされてしまいます。
雇用契約締結の日の前1年以内及び当該契約締結後に行方不明者を発生させていないことが特定技能外国人の受入れの必須条件となりますので、今後1年間の特定技能外国人の受入れが出来なくなる、ということになります。
特定技能外国人の失踪を防ぐには?
それでは特定技能外国人の失踪を防ぐためにはどうすればいいのでしょうか?受入れ企業として、防ぐための対策が出来ているかチェックしてみましょう。
☑特定技能の決まりを遵守している
当たり前のことにはなりますが、法律で決められている特定技能制度の決まりを守っているかは大事なポイントとなります。例えば、特定技能外国人の給与や待遇についてや、支援活動の内容など、基本的なルールを守って特定技能外国人を雇用しているかどうかは大事なポイントとなります。
受入れ企業側がルールを守っていなければ、特定技能外国人の不信感つながります。そもそも、出入国在留管理庁からチェックが入り受入れの継続が出来なくなる可能性が高くなりますので、注意しましょう。
☑登録支援機関や受入れ企業のサポートが正しく遂行されている
特定技能外国人の受入れを行う場合、登録支援機関へ支援を委託するか、自社で支援するか選ぶことができます。
自社支援についてはこちら→「【完全版】特定技能を自社支援で受け入れる完全マニュアル【2023年最新】」
その際に、登録支援機関に委託している場合は定められた支援を行っているかを受入れ企業側の責任でチェックする必要があります。
例えば、3か月に1回の定期面談などがありますが、半年以上登録支援機関の担当者が来ていない、在留資格申請やしばらく書類の確認をしたことがないといったことがあれば要注意です。
特定技能外国人の支援も十分に行っている可能性が低くなるため、特定技能外国人が抱える問題の早期発見が出来ず、失踪者を出してしまう可能性もあります。
自社支援を行っている場合でも、支援担当者がきちんと業務を行っているか確認をするようにしたほうが良いでしょう。
☑能動的に特定技能外国人へ関わろうとしている
登録支援機関へ委託している場合でも、自社支援をする場合でも、受入れ企業が積極的に特定技能外国人と関わる姿勢があるかどうかは重要なポイントとなります。
しかし、管理委託する場合はなかなか直接外国人と関わる機会が少なくなりがちです。一方、自社支援をしている場合は支援を企業の担当者が直接することになるため外国人と関わる機会はおのずと多くなります。
なるべく普段から特定技能外国人とコミュニケーションをとり、外国人が抱えている事情や課題などをくみとる努力が必要です。
☑福利厚生や待遇についてできる限り改善をしている
特定技能外国人を雇用している際に、本人がスキルアップしているにもかかわらず何年間も給与水準が上がっていなかったり、家賃補助などの福利厚生が不十分であったりする場合も注意が必要です。
特定技能外国人は転職ができるため、他に待遇の良い企業があればそちらに移ってしまうこともあります。また、転職が難しい場合は失踪してしまう可能性もありますので、長く企業で働いてもらうためにも、受入れ企業としては可能な限り、待遇の改善をする努力を続けるようにしましょう。
そのほかについても、こちらの記事で詳しく解説しています→【特定技能の雇用】特定技能外国人に長く働いてもらうためにするべきことは?離職を防ぐポイントを解説
きちんと制度を運用すれば、特定技能外国人の失踪は防げます
以上、技能実習生の失踪人数と特定技能外国人の失踪人数を比較したうえで、失踪を防ぐポイントについて解説をしました。
技能実習については様々な事情があるため失踪率が高くなっていますが、特定技能外国人に関しては一般的に失踪がまれであることから、受入れ企業側が正しく対応すればかなりの確率で失踪を防ぐことができます。
不安な場合は、現在の特定技能外国人の受入れ体制や、支援方法、かかわり方などを一度見直してみることで失踪は防ぐことができると言えるでしょう。
※本記事は現時点(2023年6月)で確認が取れている情報となります。制度変更や書類の書式変更などで内容が変更になることもございますので、実際に申請する場合は必ず出入国在留管理庁や在外公館まで直接お問い合わせいただくようお願い致します。