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みなさんこんにちは!SMILEVISAです。
特定技能外国人の数は、年々右肩上がりで増加しており、造船・舶用工業分野も例外ではありません。
造船・舶用工業分野は、日本の経済を支える産業の一つでしたが、近年、技術力と経験を持つ人材の高齢化、若者の都市部流出等の理由から人材確保が難しくなりました。
慢性的な人手不足が問題となっている造船・舶用工業業界に技能実習生や特定技能外国人が働くようになり、令和6年3月末には作業範囲が拡大されました。今後、人手不足解消のため受入れ人数は年々増加傾向になるでしょう。
今回は、特定技能の建設分野について、受け入れるための要件や業務内容、そして試験(特定技能1号技能測定試験)について詳しく解説していきます。
造船・舶用工業分野で特定技能外国人が従事できる業務内容
造船・舶用工業分野において、特定技能資格を利用して従事できる業務は以下の通りです。
※造船・舶用工業分野における業務区分については、令和6年3月末に再編されました。
造船区分 | ・溶接 ・塗装 ・鉄工 ・とび ・配管 ・船舶加工 監督者の指示を理解し、又は自らの判断により船舶の製造工程の作業に従事すること |
舶用機械区分 | ・溶接 ・塗装 ・鉄工 ・仕上げ ・機械加工 ・配管 ・鋳造 ・金属プレス加工 ・強化プラスチック成形 ・機械保全 ・舶用機械加工 監督者の指示を理解し、又は自らの判断により舶用機械の製造工程の作業に従事すること |
舶用電気電子機器区分 | ・機械加工 ・電気機器組立て ・金属プレス加工 ・電子機器組立て ・プリント配線板製造 ・配管 ・機械保全 ・舶用電気電子機器加工 監督者の指示を理解し、又は自らの判断により舶用電気電子機器の製造工程の作業に従事すること |
加えて上記の業務の関連業務であれば付随的に従事することが可能になります。関連業務は以下の通りです。
【関連業務】
- 読図作業
- 作業工程管理
- 検査(外観、寸法、材質、強度、非破壊、耐圧気密等)
- 機器・装置・工具の保守管理
- 機器・装置・運搬機の運転
- 資材の材料管理・配置
- 部品・製品の養生
- 足場の組立て・解体
- 廃材処理
- 梱包・出荷
- 資材・部品・製品の運搬
- 入出渠
- 清掃
注意点としては、特定技能外国人の労働時間をすべて関連業務として行うことは認められていません。
業務が特定技能資格の分野に該当するか否か不明な場合は、国土交通省にお問い合わせして確認が可能です。
参考①:出入国在留管理庁|特定技能運用要領「造船・舶用工業分野」
参考②:国土交通省「造船・舶用工業分野における業務区分再編について」
造船・舶用工業分野で特定技能を受け入れる企業が満たすべき要件
造船・舶用工業分野の特定技能外国人を雇用される事業者は、以下の条件を満たす必要があります。
①該当する許認可を受けている事業者であること
事業者は以下の該当する許認可を受けていることが必要になります。
【造船業】
- ① 造船法(昭和 25 年法律第 129 号)第5条第1項第1号又は第2号の届出を行っている者
- ② 小型船造船業法(昭和 41 年法律第 119 号)第4条の登録を受けている者
- ③ 上記①又は②の者からの委託を現に受けて船体の一部の製造又は修繕を行う者
【舶用工業】(造船業に該当する者を除く。)
- ① 造船法第5条第1項第3号又は第4号の届出を行っている者
- ② 船舶安全法(昭和8年法律第 11 号)第6条の2の事業場の認定を受けている者
- ③ 船舶安全法第6条の3の整備規程の認可を受けている者
- ④ 船舶安全法第6条の3の事業場の認定を受けている者
- ⑤ 船舶安全法第6条の4の整備規程の認可を受けている者
- ⑥ 船舶安全法第6条の4の事業場の認定を受けている者
- ⑦ 船舶安全法第6条の5の型式承認を受けている者
- ⑧ 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律(昭和 45 年法律第 136 号)の規定に基づき、上記②から④まで及び⑦に相当する制度の適用を受けている者
- ⑨ 産業標準化法(昭和 24 年法律第 185 号)第 30 条第1項の規定に基づき、部門記号Fに分類される鉱工業品に係る日本産業規格について登録を受けた者の認証を受けている者
- ⑩ 船舶安全法第2条第1項に掲げる事項に係る物件(構成部品等を含む。)の製造又は修繕を行う者
- ⑪ 造船造機統計調査規則(昭和 25 年運輸省令第 14 号)第5条第2号に規定する船舶用機関又は船舶用品(構成部品等を含む。)の製造又は修繕を行う者であって同規則に基づき調査票の提出を行っているもの
- ⑫ 上記以外で、①から⑪までに規定する者に準ずるものとして国土交通省海事局船舶産業課長が認める者
国土交通省:「造船・舶用工業分野における新たな外国人材の受入れ/造船・舶用工業分野に係る特定技能外国人受入れに係る事務取扱要領」
②造船・舶用工業分野特定技能協議会の構成員に加入し、必要な協力を行うこと
造船・舶用工業分野で初めて特定技能外国人を受け入れる場合、令和6年6月15日からは、在留資格申請の際に協議会の構成員であることの証明書の提出が必要となりました。そのため、在留申請を行う前に協議会加入が必要となります。
※令和6月14 日より前において特定技能を受け入れる場合
入管に申請をする際、入国後4か月以内に「特定技能外国人の協議会の構成員となる旨の誓約書」の提出が必要です。
入会方法
- 国土交通省のHP「造船・舶用工業分野における新たな外国人材の受入れ」に進む
- 造船・舶用工業分野の事業所であることの確認手続きを行う「造船・舶用工業事業者の確認申請書」をダウンロードをし、記入確認書を「国土交通省海事局船舶産業課長」へ提出する
- 国土交通省から確認通知書を受け取る
- 加入申請書を記入し、事務局に郵送する
- 事務局から加入通知書を受け取る
提出書類の内容など、詳しくは国土交通省のHPからご参照いただけます。SMILEVISAでは協議会の受け入れについて、下記の記事で分かりやすく解説しています。
③派遣による雇用形態ではないこと
造船・舶用工業分野の特定技能では、直接雇用のみ認められています。派遣による労働は対象外です。
造船・舶用工業分野で外国人が特定技能として働くための要件
外国人が特定技能資格を利用して造船・舶用工業分野で働くためには必要な要件があります。主に、特定技能の在留資格を得るためには下記の2つのパターンがあります。
パターン①造船・舶用工業分野特定技能1号試験に合格+日本語能力試験に合格
まず一つ目のパターンが、特定技能試験と日本語能力試験を受験し、合格するルートです。
「造船・舶用工業分野特定技能1号試験」とは一般財団法人日本海事協会が主催する試験です。種類は、溶接、塗装、鉄工、仕上げ、機械加工、電気機器組立てです。この試験に合格することで、造船・舶用工業分野で働くための技能要件を満たすことができます。
さらに、一定レベルの日本語能力の証明が必要です。日本語能力の証明は、「国際交流基⾦⽇本語基礎テスト」のA2以上の判定結果又は「⽇本語能⼒試験(N4以上)」の合格証明書が必要です。
パターン②技能実習2号を良好に修了する
もう一つのパターンが、良好に技能実習2号を修了する方法です。該当種職は以下の取りです。
出入国在留管理庁:「造船・舶用工業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」に係る運用要領
これらの技能実習は、造船・舶用工業分野特定技能1号との関連性が有り、業務に必要となる知識又は経験を有するものと評価され、試験が免除されます。
また、職種・作業の種類にかかわらず、技能実習2号を良好に修了した者については、技能実習生として良好に3年程度日本で生活したことになり、ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の日本語能力水準を有する者と評価され、日本語試験も免除されます。
参考:出入国在留管理庁「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領 -造船・舶用工業分野の基準について-」
特定技能の造船・舶用工業分野における試験内容
2024年度の試験について
※2024年10月現時点では、新区分ではなく旧区分の特定技能1号試験を実施しています。新区分の特定技能1号試験の実施開始時期については、来年度に日本海事協会のHPにて発表される予定です。
以下、旧区分の試験についての説明です。
造船・舶用工業分野の特定技能1号試験は、溶接、塗装、鉄工、仕上げ、機械加工、電気機器組立ての6種類です。試験内容は、学科試験と実技試験の2種類です。
造船・舶用工業分野の試験は、他分野と違い受験申請者が試験場所や実技試験に必要な道具等を準備し、試験監督者を受験希望場所に派遣する試験方法です。試験希望3ヶ月前に一般財団法人する必要がありますので注意しましょう。
【全体の概要】
試験科目 | 学科試験と実技試験 |
試験時間 | 学科60分、実技不明 |
言語 | 日本語 |
実施方法 | 筆記試験と実技試験 |
合格基準 | 学科60%以上、実技不明 |
【特定技能1号試験・溶接】
学科試験 | 試験時間 : 60分 問題数 :60問 (真偽選択法(〇×式)30問/安全衛生一般 10問 溶接に関する知識・技能/文章問題10問/図表問題10問) 合格基準 : 60%以上正答 |
実技試験 | 詳しい実技試験(溶接)の内容は、日本海事協会のHPの「造船・舶用工業分野特定技能1号試験 溶接 実技試験実施要領」で確認できます。 |
【特定技能1号試験・塗装】
学科試験 | 試験時間 : 60分 問題数: 60問 (真偽選択法(〇×式)30問/安全衛生一般 10問 塗装に関する知識・技能/文章問題10問/図表問題10問) 合格基準 : 60%以上正答 |
実技試験 | 詳しい実技試験(塗装)の内容は、日本海事協会のHPの「造船・舶用工業分野特定技能1号試験 塗装 実技試験実施要領」で確認できます。 |
【特定技能1号試験・鉄工】
学科試験 | 試験時間 : 60分 問題数: 60問 (真偽選択法(〇×式)30問/安全衛生一般 10問 鉄工に関する知識・技能/文章問題10問/図表問題10問) 合格基準 : 60%以上正答 |
実技試験 | 詳しい実技試験(鉄工)の内容は、日本海事協会のHPの「造船・舶用工業分野特定技能1号試験 鉄工 実技試験実施要領」で確認できます。 |
【特定技能1号試験・仕上げ】
学科試験 | 試験時間 : 60分 問題数: 60問 (真偽選択法(〇×式)30問/安全衛生一般 10問 仕上げに関する知識・技能/文章問題10問/図表問題10問) 合格基準 : 60%以上正答 |
実技試験 | 詳しい実技試験(仕上げ)の内容は、日本海事協会のHPの「造船・舶用工業分野特定技能1号試験 仕上げ 実技試験実施要領」で確認できます。 |
【特定技能1号試験・機械加工】
学科試験 | 試験時間 : 60分 問題数: 60問 (真偽選択法(〇×式)30問/安全衛生一般 10問 機械加工に関する知識・技能/文章問題10問/図表問題10問) 合格基準 : 60%以上正答 |
実技試験 | 詳しい実技試験(機械加工)の内容は、日本海事協会のHPの「造船・舶用工業分野特定技能1号試験 機械加工 実技試験実施要領」で確認できます。 |
【特定技能1号試験・電気機器組立て】
学科試験 | 試験時間 : 60分 問題数: 60問 (真偽選択法(〇×式)30問/安全衛生一般 10問 電気機器組立てに関する知識・技能/文章問題10問/図表問題10問) 合格基準 : 60%以上正答 |
実技試験 | 詳しい実技試験(電気機器組立て)の内容は、日本海事協会のHPの「造船・舶用工業分野特定技能1号試験 電気機器組立て 実技試験実施要領」で確認できます。 |
引用:一般財団法人日本海事協会「造船・舶用工業分野特定技能試験の実施について」
同HPに学科試験のサンプル問題が公開されています。
造船・舶用工業分野の特定技能1号を採用する方法
造船・舶用工業分野の特定技能の採用方法については3つあります。
- 技能実習生から特定技能へ移行する方法
- 日本国内に在留している外国人を受け入れる方法
- 海外から来日する外国人を受け入れる方法
また、外国人雇用採用サービスセンターにおいても造船・舶用工業分野の特定技能1号を受け入れたい企業に対して支援を行っています。
SMILEVISAでも造船・舶用工業分野の特定技能1号のご紹介を行っています。お気軽にお問い合わせください。
造船・舶用工業分野の特定技能・よくある質問と回答
質問①技能実習で溶接に従事していた実習生が、特定技能の塗装に移行を希望する際にはどうすればいいでしょうか。
【回答】
溶接から塗装に移行するには、塗装の特定技能1号試験を受験し合格する必要があります。溶接で技能実習2号を良好に修了した場合、無試験で移行できる業務区分は、溶接に限定されます。
もし、実習生や特定技能外国人の方から他区分の特定技能に移行したいと希望されていた際は、希望区分の特定技能1号試験の受験を案内しましょう。
質問②職場の人手不足が深刻です。特定技能外国人にはこれからも長く現場で働いてほしいですが、特定技能1号外国人は、最長何年滞在することができますか。
【回答】
「特定技能1号」の在留資格で日本に在留できる期間は最長5年です。
もし、特定技能1号外国人を5年以上滞在させたい場合は、「特定技能2号」に移行させましょう。「特定技能2号」の在留資格で日本にいる期間は就労資格として在留している期間に含まれます。また、「永住者」の在留資格へ変更することが可能です。
SMILEVISAでは「特定技能1号」を「特定技能2号」へ移行する条件や試験について下記の記事で分かりやすく解説しています。
特定技能の自社支援、書類作成の効率化を始めませんか?
以上、造船・舶用工業分野で特定技能外国人を受け入れる方法について解説しました。特定技能を受け入れるための手続きは煩雑で、大きな手間がかかってしまいます。
SMILEVISAではこれから特定技能を自社支援で受け入れていきたい、特定技能の管理費を大幅にコストカットしたい、書類の申請を効率化したい!とお考えの受入れ企業様向けの特定技能管理システムを提供しています。
自社支援の開始に自信がない方でも、問題なく自社支援に切り替える伴走サポートもございます。当社をご利用した100%の企業様が自社支援を成功させています。特定技能の自社支援をご検討の方は、ぜひこちらよりお気軽にご相談ください!
※本記事は現時点(2024年10月)で確認が取れている情報となります。制度変更や書類の書式変更などで内容が変更になることもございますので、実際に申請する場合は必ず出入国在留管理庁や在外公館まで直接お問い合わせいただくようお願い致します。